故人の好きだった時計や愛用の洋服など遺品整理をし始めてみたものの、何一つ捨てる気持ちになれずに時間だけが過ぎてしまったという遺族も珍しくありません。生前の姿が浮かんで、とても遺品を捨てるなんてできないと考えたり捨てるべきものだと分かっていても手放せなかったりするので、なかなか先へ進められなくなってしまいます。遺品を捨てることに、抵抗感や罪悪感があるからです。
今回の記事は、遺品を捨てる際の抵抗感や罪悪感が起こる理由・少しでも不安な気持ちを減らす対処方法をまとめてご紹介します。遺品整理を始めたものの、なかなか進められなくて困っているという方は、いったん時間をおいて取り組んでみてはいかがでしょうか?
遺品を捨てると思うと抵抗感や罪悪感が先立つ理由
遺品整理を始めかけても捨てるという選択肢を選ぶことに抵抗感や罪悪感が先立ってしまうのは、良くあります。遺品整理をして遺品を捨てるのに何も感じない人の方が稀なのではないでしょうか?どんな理由から遺品整理が進まなくなるのかまずそこから見て行きましょう。
故人の思い出が鮮明に蘇るから
故人がより鮮明に蘇る遺品と言えば、アルバムや衣類です。過去を遡ってアルバムを見ているとその時々の故人の思いが浮かんで来るので、とても捨てる気にはなれません。スーツやスカートなどお気に入りの衣類なら、故人が着用していた時の一言やエピソードまで思い出されるものですね。
故人の考えがどうだったのかが気になるから
遺品整理をし始めて、捨てるものと残すものに分けようとしても故人の思いを尊重しなくて良いのかと思うと遺品整理が滞ってしまうこともあります。趣味の作品やお気に入りの洋服など遺族の判断だけで、捨ててしまって故人がどう感じるだろうかと想像するだけで手が動かせなくなってしまうわけです。
遺品の供養を知らなかったから
遺品であきらかに捨てても問題ないと思うものでも、故人にとっては愛用の品物だったということもあります。遺品を自治体のゴミとして捨てるにあたって、後ろめたさを感じるのは当然です。遺品を炎で浄化して供養するお焚き上げや僧侶の読経がありますが、こうした供養を知らないままだと、気持ちに区切りがつけられない人もいるでしょう。
捨てても良いのか判断がつきにくいから
遺品は、生活用品だけではなく骨とう品や貴金属など価値の高いと思われるものもあります。価値のありそうなものだけをとっておき、それ以外を捨てるという判断で果たして良いのだろうかと悩んでしまう方も少なくありません。また、継承できなくなった仏壇や神棚の扱いをどうすべきなのかも悩むところです。
捨てることそのものに抵抗感があるから
使うか使わないかに関係なく、故人の遺品を何でも残しておきたいという思いの方も中にはいます。着用し続けた洋服や枕などでも、捨てられないわけです。遺品整理で捨てる選択肢のない方は、そうとうな抵抗感があり仕分けすらなかなか進まなくなってしまいます。
罪悪感を減らして遺品整理を行うには?
遺品を捨てることに罪悪感がある時、どんな風に遺品整理を行えばもっと楽になれるでしょうか?
遺品を全部捨てると考えなくても良い
アルバムや衣類は特に故人の思い出がリアルに蘇って来るものです。すべて遺品を捨てると考えずに、まずは強い思い出が残るものはとっておきましょう。優先するのは、壊れた電化製品や食器などや汚れている寝具などと考えてみてはどうでしょうか?その次に、使えるものも使う予定はないものと順次進めていけば、罪悪感を減らせるようになります。気になってしまうものがあれば、とりあえず保管していても問題ないと考える方が時間が解決してくれることもあるのです。
故人の気持ちを想像するだけでも良い
故人が生前に気がかりになっていたものの話をしていたとか、断捨離をしかけていたといった出来事があれば、故人の気持ちを想像しながら遺品整理を進めて行くのもおすすめです。「きっと捨てて整理をして欲しいと思っていたはず」と思えるものであれば、遺品整理で捨てることで故人の思いを尊重することにつながります。
自身の気持ちの整理がついてからで良い
罪悪感がある場合には、亡くなった悲しみの真っただ中にいて前へ進むために気持ちの整理がついていない場合があります。こんな時に無理に遺品整理を進めようとしても、気持ちが堂々巡りするばかりか喪失感をさらに強めてしまうことにもなり兼ねません。遺品整理を早急にしなければならない理由がない場合には、少し時間をおいて気持ちの整理をつけてからだと、心の葛藤を少しでも軽くできます。
遺品の供養を行ってもらう
そのまま遺品を捨てられない思いがある場合には、寺院や遺品整理業者に供養を頼んでみましょう。故人の愛用の品や捨てるのに悩んでしまうものだけを選んで相談してみてください。供養をしてもらうと、すっきりと気持ちが軽くなります。
遺品の買取を行ってもらう
みすみす遺品を捨てるのは、実際にもったいなさが浮かんで来るものです。使える家電や家具を買取している遺品整理業者もあるので、買取の査定を受けてみるのも良いでしょう。また、高価な貴金属や骨とう品なら専門の買取業者に鑑定をしてもらうのもおすすめです。ただ、注意をして欲しいのは市場価値が高いと思われるものは相続対象となる点です。遺産相続の観点からみても、相続が完了しないままで勝手に処分や買取に出すことはできません。
まとめ
遺品整理を進める時に抵抗感や罪悪感があるのは、遺族として当然のことかもしれません。故人の思い出がある中で遺品を処分するのは、胸をえぐられる思いに包まれるものです。けれども、罪悪感をできるだけ減らしながら遺品整理を行うことができます。遺品整理業者には遺品整理士が在籍しているところも多数あるので、遺族の感情にも配慮した対応をしてくれます。遺品整理の作業を進める中で気持ちがついていかなくて進められない場合には、業者へ相談をするのも良いでしょう。精神面だけではなく遺品の扱い方や遺品整理の進め方のアドバイスも行ってくれるため不安を軽くしてくれるメリットもあります。