故人が賃貸物件に住んでいた場合、遺品整理の際に原状回復が必要になるケースがあります。孤独死や自殺、事故死などで亡くなってしまった場合には、部屋が特殊な状況となる問題が出て来ます。そうなると、管理人が原状回復に納得が行かない場合、損害賠償を求められたり追加費用を請求されたりするトラブルに発展してしまう可能性もあります。
この記事を読んでもらうと、遺品整理の際に賃貸物件の原状回復をどのように行うのかが分かります。遺品整理業者に、特殊清掃や住宅消臭など原状回復に関する作業を依頼する際の選び方や作業の流れも詳しくお伝えしましょう。
賃貸物件の原状回復義務とは?
賃貸物件に故人が済んでいた場合には、連帯保証人や相続人が賃借権を引き継ぐことになります。賃貸借契約書には退去時の規約が記載されているので、まず確認しましょう。家財道具の撤去や破損した箇所の修理、ハウスクリーニングといった清掃が求められます。
賃貸物件を借りていた人が亡くなると、相続人や連帯保証人には原状回復の義務が発生するので契約書に記載されているように回復工事を行わなくてはなりません。
遺品整理で特殊清掃が必要な場合
身内を亡くすと遅かれ早かれ遺品整理をするようになります。単に、遺品を整理するだけではなく特殊清掃が必要となる亡くなり方もあります。もし、孤独死や自殺、事故死などで亡くなった場合には、発見が遅れることで特殊清掃の作業内容や時間もかかってしまうものと理解しておきましょう。したがって、発見まで遅れれば遅れるほど特殊清掃の費用も割高になります。
孤独死の実例
孤独死は、本人が亡くなってから発見するまでに時間が経過することの方が多いと言われています。特に、賃貸物件でご近所との付き合いが希薄になっていると隣の方が亡くなったとしても気づきにくいものです。亡くなり方は、以下のように室内でもいろんな事例があります。
- トイレで亡くなった
- 居間で横になったまま亡くなった
- 入浴中に亡くなった
- 就寝時に亡くなった
亡くなり方次第では、死後の時間が経過しているため体液や血液などが室内に広がっていることが考えられます。死臭や害虫、腐食の問題も出てきてしまうと、賃貸物件の価値を損ねてしまうことにもなり兼ねません。
通常の遺品整理は、簡易的な掃除を行うことで終了しますが特殊清掃が必要な時には床や壁などの状態に合わせて原状回復をして明け渡しとなります。
数日経過した後に孤独死に気づく場合
死後数日経って孤独死に気づくのは、異常な臭いによるものです。また、何も連絡が取れずに訪問したら亡くなっていたという事例もあります。これらは、高齢者だけではなく40~50代でも起こり得ることです。この場合、身内が遺品整理をしようとしても耐えられる臭いとは違うのですぐに片付けができる状態ではありません。
死後の日数が長いと腐敗臭がしてきます。しかも、賃貸物件に住んでいた間にも掃除がされていない状態が長いと部屋の悪臭や汚れもひどくなってしまいます。中には、足の踏み場もないほどのゴミ屋敷が原因で、命を落とすこともあるくらいです。
遺品整理業者は特殊清掃や住宅消臭などにも対応可能
遺品整理を依頼する際に、特殊清掃や住宅清掃なども依頼するためには対応可能な業者を見つけなくてはなりません。遺品整理業者によっては、特殊清掃にも対応しているところがあるので遺品整理と合わせて一度の依頼で済む場合もあります。
また、特殊な亡くなり方をしているため、日にちの経過とともに特殊清掃に時間を要するようになって来ます。最短で特殊清掃を依頼するためには、1社でお任せできる方が遺族にとっても精神的な負担を軽減できるでしょう。
特殊清掃は薬剤と技術を駆使して行う
孤独死した場合には、死後3日目には腐敗臭体液の匂いが充満して来ます。窓を開けて換気するだけでは臭いが取れることはありません。この点が、単なる悪臭とは性質が異なるわけです。そのため、一般の方が芳香剤や消臭剤を用いたとしても臭いは残り続けます。
腐敗臭は、薬剤を使った特殊清掃で解決するしかありません。特殊な薬剤を使うには特殊清掃業者でしか、この作業はできません。腐敗体液がある場合では、防護服を着て清掃を行います。害虫による細菌感染の恐れもあるので、対策をした上で入室して作業を行うのが普通です。
現状回復はトラブルのないように良質な業者を選ぶ
賃貸住宅で孤独死などがあった場合に原状回復をする時、適切な作業を行える業者を選ぶのがとても重要です。原状回復工事が適切に行われる業者であれば、トラブル回避ができます。不動産管理会社や家主においても、良心的な対応をする業者を選びましょう。質が劣ると借主と貸主の間でトラブルに発展するきっかけをつくってしまうので、業者選びは慎重に行うのがおすすめです。
原状回復の具体的な流れ
特殊清掃や住宅消臭を行わないと遺品整理ができない事例もあります。しかも、賃貸物件だと管理人や不動産会社からはできるだけ早い退去を求められるようになります。身内としても、早く退去を済ませるためには特殊清掃や住宅消臭をした上で原状回復を済ませるしかありません。
原状回復の具体的な流れは、以下の通りです。
- 現場の確認をする
- 賃貸物件の消臭や除菌をする
- 体液や血液のあとを清掃する
- クロスや畳をはがす
- 床下の状態まで汚れがないかを確かめる
- 床下のコンクリートなどに汚れがあれば清掃をする
- 室内の消臭や除菌を特殊機器で行う
- オゾン脱臭を行う
- 汚染部分に特殊な防臭剤を塗布する
- クロスやフローリングの張替をする
原状回復の流れを見ると、業者に何を依頼すべきなのかが時系列で理解できるでしょう。遺品整理に片付けから依頼する場合と違い、特殊清掃が必要な亡くなり方の場合には流れにいくつもの段階があります。遺品整理業者を探す時には、特殊清掃や原状回復に対応可能な業者を選ぶようにすると迅速な明け渡しが可能です。
まとめ
特殊清掃を含めた遺品整理を依頼する際には、状況に応じて原状回復工事もしなくてはなりません。業者を選ぶ時、サービス内容を確認するのも重要です。ただ、値段の安さだけで契約をしてしまうと、腐敗臭が取れないままで工事が完了となり管理人とのトラブルになる可能性もあるので注意をしてください。
特殊清掃の確かな技術を持っている遺品整理業者に依頼すれば、安心して明け渡しできる状態にしてくれます。孤独死や事故死など身内にとっては衝撃的な亡くなり方であり、悲しみにある日突然見舞われます。遺品整理と原状回復を進める上でも良質な業者を選んで、できるだけ心身のストレスを減らせるやり方を検討しましょう。