入居者のプライベートな部屋の実情は、アパート経営者であっても分かりづらいものです。入居者や近隣の方から悪臭や害虫などの苦情が出始めると、すでにゴミ屋敷となっている可能性は高くなります。隣同士でもあまり立ち入らない風潮があるため、どのような暮らし向きなのかも知らないケースが多いでしょう。
この記事を読んでもらうと、アパート経営者にゴミ屋敷のリスクがどれほどあるのかが分かります。ゴミ屋敷のリスクを知り、できるだけゴミ屋敷になる前の段階で防ぐ対策も把握しておきましょう。もし、アパートの一室がゴミ屋敷になってしまっていた場合の対応についてもご紹介して行きます。
アパート経営者にとってゴミ屋敷のリスク
賃貸経営をしている方にとって、部屋がゴミ屋敷化してしまうとさまざまなリスクがあります。
火災の危険性
ゴミが多いと部屋の中で、もしも火災が起きた時に火のめぐりが早くなります。隣接している部屋まで延焼もあり得るでしょう。タバコ、ガス、ライターなどの取り扱いでそばに燃えるものがたくさんあると、初期消火が間に合いません。
アパート経営者にとっては、賃貸物件の損傷や入居者の被害もあるため、非常に恐ろしい事態になってしまいます。
悪臭や害虫の問題
ゴミを溜め続けていると部屋の中は、不衛生な状態が持続します。そのため、ゴキブリやハエなどの害虫が発生してしまうとあっという間に拡大してしまうわけです。床が見えないほどの汚部屋となっていると、こうした害虫は十中八九いると考えられます。
害虫が発生している部屋では、それに伴って悪臭問題も浮上してきます。紙ゴミ以外のお弁当のパックや食べ残しのお惣菜などを放置しておけば、腐敗してきて悪臭を放ちます。悪臭の問題は、目に見えない分非常にデリケートです。ゴミ屋敷となっている部屋だけではなく、通路や他の部屋にも影響を及ぼしてしまいます。
入居者が減ってしまう問題
火災や悪臭・害虫の問題があるゴミ屋敷がアパートのどこか一室でもあると、近隣住民は不安や不快な思いにさらされます。火災になるかもしれないリスクが高いアパートよりも、より安全な物件への引越しを考えるのも当然ですね。
アパート経営者にとっては、ゴミ屋敷の部屋があることで入居者が減少したり退去者が増えたりして来ます。こうなると、アパート経営が成り立たなくなり死活問題にもなり兼ねません。
アパート経営者が知っておくべきゴミ屋敷化の対策
アパート経営者にとっては、ゴミ屋敷化してしまう前に何とか対策をとっておく必要があります。
共用部分や室外機置場などのルールを徹底する
共用部分にものやゴミを置くのを黙認していると、それがエスカレートしてしまうこともあります。駐輪場にしても、自転車やバイク以外のタイヤや不用品を置いていると、本来の目的で他の住人が使いづらくなってしまうでしょう。また、エアコンの室外機を置くスペースが空いていても、自由にものやゴミを置いて良いわけではありません。
アパートの共用部分をしっかり管理するためにも、ルールの徹底をする必要があります。ルール違反の行為が見られたら、その都度、文書を全戸に入れるなどしましょう。特に、同じアパートに住み続ける年数が長いほどルールを無視しがちな入居者も多くなる傾向があるので、ルールの告知は持続的に行うようにしてください。
大家さん自らが行うわけではなく、管理している不動産会社が行うのが普通です。
ゴミ屋敷に気づいた時の対処法
悪臭や害虫、外観からゴミ屋敷に気づいた時には、早めの対処法を取るようにしましょう。近隣の部屋からの苦情によっても迅速な対応を迫られることもあります。
入居者だけではなく連帯保証人にも連絡をする
まずは、入居者への連絡が急務です。ただし、ゴミ屋敷となっている場合、素直に片付けに応じるとも限りません。最悪の場合、連絡すらつかない場合もあるでしょう。ゴミ屋敷となるまでに、何度か文書で通告をしていることから入居者自身も認識はしているものの、放置しているケースも多いからです。故意に連絡にも出ないことも考えられるでしょう。
その場合には、連帯保証人にも連絡をしてください。入居者本人だけでは、ゴミ屋敷にした認識が場合によっては薄い場合もあるからです。客観的に事実を認めさせるためにも、連帯保証人にも知らせる必要があるあります。
ゴミ屋敷の片付け業者への依頼を勧める
入居者自身で片付けができる段階なら、外部で気づきにくいのが普通です。アパート経営者が気づいた時には、かなり深刻な事態になっていることもあるでしょう。その場合には、入居者が部屋を片付けるのは困難ですので、ゴミ屋敷を解決する専門業者の依頼を勧めましょう。
ゴミ屋敷を片付ける際の相場は、以下の通りです。ゴミ屋敷といっても床が見えない場合と部屋の高さの半分まで埋まっている場合では費用が異なります。
間取り | 料金相場 |
1R | 30,000~80,000円 |
1DK | 50,000~120,000円 |
2DK | 100,000~250,000円 |
しかし、ゴミ屋敷を片付け業者に依頼すれば迅速に問題を片付けてくれるため、アパートのトラブルを最短で解決することも可能です。
ゴミ屋敷となると片付け業者が行う簡易的な掃除ではきれいにならない場合も考えられるでしょう。その際には、ハウスクリーニングの依頼も検討しなければなりません。
まとめ
ゴミ屋敷となった場合は、数万から数十万もの撤去費用がかかります。入居者が支払うゆとりがない場合には、アパート経営者が一部を負担せざる得ないケースもあるでしょう。ともすると、入居者が夜逃げしてしまうことだってあり得るわけです。
できるだけ本格的なゴミ屋敷となる前の対策をしておくのが賢明だと言えるでしょう。プライベートに関わることなので、なかなか部屋の内部までは知り得ないものですが、普段から部屋の周りにゴミを放置していないか、駐輪場に別のものをおいていないかを見回るのも大事です。