故人の人生を物語る遺品は、ありとあらゆる生活用品や財産などまでたくさんあります。いざ、家族が亡くなった時に遺品の処分で悩んでしまうものは、衣類・仏壇や神棚・人形・デジタル遺品です。「勝手に捨てて良いのだろうか?」「パソコンのデータで観てはいけないものが出てきたらどうする?」など家族であっても扱いには頭を悩ませてしまいます。
今回は、遺品の処分で特に悩んでしまうものを取り上げ、具体的な遺品整理の方法について解説していきます。
目次
- 遺品の処分で悩むことが多いもの
- 残されやすい衣類の遺品整理
- 形見分けをする
- リメイクをする
- 処分する
- 扱いに戸惑ってしまう仏壇や神棚
- 仏壇の処分方法
- 神棚の処分方法
- 魂がこもっている人形
- パソコンやスマートフォンなどのデジタル遺品
- 残されやすい衣類の遺品整理
- まとめ
遺品の処分で悩むことが多いもの
家族を亡くして遺品の処分を始めようと思っても、なかなかどの遺品を手にしても思い出が蘇ってくることで、進まないことも多いものです。かつては、形見分けや遺品整理をし始める時に、家族の人数も多く取り組みやすかったのですが、今では限られた人数だけで遺品の処分を進める必要がありそれだけ手間も時間もかかってしまいます。
処分の方法に悩んでしまう遺品で、特に代表的なものを取り上げて行きます。
残されやすい衣類の遺品整理
遺品で何と言っても数が多いのが、衣類です。普段着から仕事着のスーツまでありとあらゆる衣類があります。
形見分けをする
普段着やスーツなど親しい間柄にある人なら、形見分けをしましょう。故人と同年代の方なら、着用する機会も多くなるものです。身内なら、故人より世代が若い人でも先々着ることもあると考え形見分けの気持ちを汲んでくれるでしょう。
リメイクをする
特に思い出深い洋服は、バッグやパッチワークキルトにリメイクしてみることも可能です。形のまま残っているのは、いつまでも在りし日の故人の姿がリアルに浮かんで来て、深い悲しみが続くことにもなりがちですが、形を変えることでグリーフケアにも役立ちます。
処分する
遺品の衣類で、誰かが着る予定もないものや劣化もしてきているものなら、思い切って処分をしましょう。故人の来ていたジャケットだからという気持ちから処分することに抵抗感があるのも無理もありません。けれども、タンスやクローゼットを見るたびにスペースを取っているという気持ちがあれば、処分をした方がきちんと気持ちの整理ができるようになります。
自治体では、古布回収も行っているので指定された曜日に出すようにしてみてください。
衣類だけではなく、他の遺品整理も同時に業者に依頼するならその際に処分してもらうことも可能です。
扱いに戸惑ってしまう仏壇や神棚
故人が暮らしていた家に設置されていた仏壇や神棚は、粗末に扱ってはならないものの、どう対処すれば良いのか戸惑ってしまうものです。
仏壇を処分するには、菩提寺の住職に「御霊抜き(閉眼供養)」を行ってもらいましょう。また、仏壇を子どもの家に移動させる場合にも、「御霊抜き」を行った後に移動先の家で「御霊入れ(開眼供養)」を行います。
仏壇の処分方法
菩提寺がある方なら、全て住職に相談できるのでまず問い合わせをしてみるのがおすすめです。また、仏壇店なら処分の扱いに精通しているので相談をしやすいメリットはありますが、買い替えをしないとなかなか処分だけは言い出しづらいものもあるものです。
自治体の粗大ゴミとして仏壇を処分することも、対応しているところもあります。ただ、仏壇という性質上、粗大ゴミとして何も思わずに処分するというのは、できない方が多いでしょう。
遺品整理業者は、御霊抜きから行ってくれますし、処分だけ依頼することもできます。業者に回収してもらうので、自ら運び出す手間もかかりません。遺品整理業者を選ぶ際には、遺品整理士の資格があり、実績が多数ある所を選ぶようにしましょう。遺品整理士の資格を持っていることから、遺族や故人に対して失礼のない対応の可能性が高くなります。
神棚の処分方法
神棚は、まず神社に相談をしましょう。神社に持参して、祈祷を済ませると神棚はただの箱になります。神様として見守ってもらった神棚ですので、さらに手厚く処分したい場合には、お焚き上げを行いましょう。
神社に持ち込めないという場合には、遺品整理業者なら回収可能です。祈祷やお焚き上げまで対応可能なところや回収のみのところもあるので、意向に沿った処分をしてくれるところを探しましょう。
魂がこもっている人形
人形をそのまま処分すると魂が宿っていると考える人も多く、処分に悩んでしまうものですね。日本人形や雛人形の他、ぬいぐるみも故人の思いに触れることも多く、捨てづらい心境になります。ゴミとして処分するのに抵抗があれば、人形供養を行ってもらいましょう。
日本人形協会や人形供養を受け付けているお寺や神社でも相談ができます。お住まいの最寄りの寺社へ持ち込むのがおすすめですが、最寄りで見つからない時や持ち込みが対応できにくい場合には、全国から郵送でも受付可能な寺社を探すと、手間もかからず便利です。費用は3,000円~5000円程度で受け付けてもらえます。
パソコンやスマートフォンなどのデジタル遺品
パソコンには、故人の重要な個人情報が保存されているので、安易な処分はできません。以下の内容は、上位の方が重要度の高いものです。
- インターネットバンキング預金口座
- 預金以外の金融商品
- インターネット通販・オークション
- 有料サイト
- ブログ・個人のホームページ
- SNS
- メール
- 写真・住所録
- 外部デバイス
- クラウドサービス
参照:「デジタル遺品」が危ない そのパソコン遺して逝けますか? 萩原栄幸・著
デジタル遺品は、存在を知らないために死後に悪用されたり、安易に放置や処分しまうものです。多くのデータが残されているのが、パソコンです。起動する際にパスワードが分からないこともあります。思い当たるパスワードを入力してみることも、家族で行うことも可能でしょう。パソコン周りにノートがあれば、確認してみるとパスワードやメールのメモがあることもあります。
どうしても、パスワードが分からない時には、故人の名誉を守るためにも、データ救出が可能な復旧業者に依頼をしましょう。
デジタル遺品を調べて行き、プラスになる物ばかりとは限りません。負債の証拠になるもの、不倫の写真などが出てきてしまい、遺族にとって故人への思いが大きく乱れることにもなります。
現在では、自分の死後、パソコンを遺族や業者が起動させたときに、自動的にメッセージやファイルを削除できる無料終活・遺言ソフトもあります。
まとめ
遺品の処分で悩んでしまうのは、紹介した衣類や仏壇・神棚、人形、デジタル遺品です。遺品に応じて処分の仕方にはそれぞれ方法が色々とあります。納得のゆく方法で遺品を処分しましょう。自分で形見分けするもの・処分するものと分けやすい衣類と異なり、仏壇や神棚、人形は処分の際に供養や祈祷を行う方法もあるので、注意深く調べましょう。デジタル遺品に関しては、大事な情報が遺されているため扱いは慎重に行うようにしてください。